制度・法令解説

外国人雇用状況届出を事業主が確認する方法

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

10分
目次

外国人を直接雇う事業主は、雇入れと離職を起点に外国人雇用状況の届出を確認します。労働施策総合推進法第28条は、事業主が確認して厚生労働大臣に届け出る事項を定めています。

特定技能の受入企業では、入管法に基づく所属機関の届出も話題になります。名称が似ていても根拠法と対象の出来事が違うため、同じチェック欄へまとめると担当が迷います。

本記事では直接雇用する事業主の視点で、第28条の対象と確認事項を読みます。特定技能の受入手続、所属機関の届出、技能実習と育成就労の違いは制度別の参照先です。

本記事で分かること

  • 雇入れと離職で事業主が確認する事実
  • 第28条に明記された確認事項
  • 入管法に基づく届出との区別

結論:外国人雇用状況届出(早見表)

外国人雇用状況届出は、事業主が外国人を雇い入れた場合と離職した場合に確認する届出です。根拠は労働施策総合推進法第28条第1項です(e-Gov法令API現行版、確認日2026-10-21)。国・地方公共団体については同条第3項が別の扱いを定めるため、本記事は民間事業主を中心にします。

出来事主体法律に書かれた確認提出先
外国人の雇入れ事業主氏名、在留資格、在留期間等厚生労働大臣
雇用する外国人の離職事業主同上の事項厚生労働大臣

実務上の案内は厚生労働省「外国人雇用状況の届出」で確認します(取得日2026-10-21)。法律の条文から読み取れる事項と、手続の案内で確認する事項を分けて管理すると、古い社内説明をそのまま使わずに済みます。

関連する確認は特定技能所属機関の届出で整理できます。

届出を行う事業主を確認する

第28条の主語は、外国人を雇い入れた、または雇用する外国人が離職した事業主です。派遣先や紹介元を自動的に事業主へ置き換えず、雇用契約の当事者を確かめます。業務を実際に行う場所と、雇用主の名前が違うときほど確認が必要です。

確認する相手資料判定に使う事実
事業主雇用契約書契約の当事者
本人在留カード等確認事項の記載
担当者人事記録雇入れ・離職の事実

雇入れ時に確認する事実

新たに外国人を雇い入れるときは、雇用契約の当事者と雇入れの事実を人事記録で確認します。そのうえで第28条が掲げる氏名、在留資格、在留期間などの確認へ進みます。就業予定だけで雇入れ済みと扱ったり、候補者情報を届出済みの記録へ転記したりしないようにします。採用担当が把握する段階と、雇用が始まる段階の資料を分けることが実務上の出発点です。

本人から示された在留カードの情報と、人事が登録した氏名の表記に違いがある場合は、入力時点で確認します。転記の誤りを残したまま提出資料を作ると、後で複数の制度の記録が一致しなくなります。第28条の確認事項を満たすための照合であり、在留カードに書かれた情報を目的なく広く共有するための作業ではありません。参照した資料と確認担当を残します。

採用の窓口が複数ある場合、採用を決めた部署と雇用契約を締結した事業主の名称を照合します。紹介を受けた企業や就労場所の名称だけで届出主体を決めないためです。雇入れを確認する資料には、人事側が確定した日付と本人の情報を対応させます。社内の募集管理表に載る候補者を全員届出対象として扱わず、事実に基づいて一人ずつ確認します。

雇入れ時に雇用契約書と在留カードの情報を照合する図
雇入れ時に雇用契約書と在留カードの情報を照合する図

離職時に確認する事実

外国人が離職した場合も第28条第1項の対象です。会社が離職予定を聞いた時点と、実際に雇用関係が終わった事実を分けて記録します。労務担当者は人事記録と本人に関する確認事項を対応させ、同姓同名の別人や別の雇用契約を混同しないようにします。離職理由の社内整理と、条文が定める届出事項の確認も別に行います。

特定技能外国人が離職するときは、入管法上の契約終了に関する所属機関の届出も別途確認します。同じ出来事が二つの法律に関わっても、届出の主体と提出先を一つに縮めません。所属機関の届出の契約終了の節と照合し、どちらの資料を誰が準備するかを社内で示します。

離職の確認では、部署が聞いた予定と人事が保管する最終の記録が一致するかを見ます。予定が変わったときは、前のメモを削除するだけでなく、どの情報を更新したかを残します。本人の在留資格について別の手続が進んでいても、それだけで事業主の届出が済むわけではありません。異なる制度の完了欄を別に設けて、確認済みの資料を対応させます。

離職の事実と二つの法律上の確認を分ける図
離職の事実と二つの法律上の確認を分ける図

法律で示される確認事項を整理する

第28条は氏名・在留資格・在留期間を明記し、その他の事項を厚生労働省令に委ねています。条文だけを根拠に社内の確認表を完成させず、厚生労働省の手続案内と照合します。会社が日常管理に使う項目と法定の確認事項を区別します。

区分条文上の位置読む資料
氏名第28条第1項に明記本人の資料と人事記録
在留資格・在留期間同項に明記在留カード等
その他の事項厚生労働省令への委任公的な手続案内

第28条の確認項目

氏名、在留資格、在留期間は第28条第1項に明記されています。条文は在留資格について入管法第2条の2第1項、在留期間について同条第3項を参照します。従って、社内の人事システムにある「国籍」「配属部署」などを列挙して法定事項と言い換えず、まず条文が示す範囲を確かめます。資料を確認した人が何を見て転記したかを残すと、記録の出所も分かります。

本人の記録を扱う際は、社内で閲覧できる人と届出担当を決めます。確認に使う資料と、その写しの管理は会社の情報管理ルールに従って扱います。届出をするために集めた情報を別の制度の資料へ無条件に流用しないことも必要です。第28条の届出について厚生労働省が示す説明を確認してから、社内の入力欄と対応付けます。

氏名の表記は、社内の通称や入力上の省略と原資料の表記がずれることがあります。公的な確認事項を書く際は原資料と見比べ、違いがあればどの欄を修正するか担当者間で共有します。在留資格と在留期間も名称が似ていて別の情報です。確認表では一行に押し込めず、異なる欄へ置き、誰が何を確認したかを明らかにします。

氏名、在留資格、在留期間という確認項目を示す図
氏名、在留資格、在留期間という確認項目を示す図

省令に委ねられた追加事項

第28条は、その他厚生労働省令で定める事項の確認と届出を定めています。法律の条文に個別の項目が書かれていない部分を、会社の推測で補わないようにします。公的な手続案内を見て、どの事項をどの資料で確認するかを社内表へ落とします。案内を開いた日付と参照した版も残すと、後で更新があったときに照合できます。

追加事項の確認では、企業が別の目的で持つ個人情報を全て提出対象と考えないことが大切です。業務上便利な社内項目と、法令に基づいて確認する事項の二つの欄を設けます。事実の裏付けが十分かは本人の資料と人事記録で確かめ、提出方法は厚生労働省の案内で判断します。条文と手続案内の階層を分ければ、案内が変わったときも差分を見つけやすくなります。

手続案内の説明が法律より詳しい場合は、その部分の根拠を「厚生労働省の案内で確認」と記しておきます。法律の条文に書かれていない細部を、条文が直接定めたと説明しないためです。部署ごとに使う台帳を整える際も、公的案内が改訂されたら該当項目を見直せるよう、参照元を記録します。追加事項は案内の版を確かめてから説明します。

法律の項目と省令に委ねられた項目を分ける図
法律の項目と省令に委ねられた項目を分ける図

入管法上の届出と別に管理する

外国人雇用状況の届出と特定技能所属機関の届出は、根拠法も対象の出来事も違います。第28条では雇入れ・離職、第19条の18では特定技能雇用契約や支援に関する事項を読みます。特定技能を受け入れる事業主では両方の確認が必要になる場面があります。

所属機関届出との対象差

入管法第19条の18の主体は特定技能所属機関です。随時届出には特定技能雇用契約の締結・変更・終了、支援計画の変更、委託契約の締結・変更・終了などが含まれます。労働施策総合推進法第28条の届出は、新たな外国人の雇入れと雇用する外国人の離職が起点です。対象を比べると、特定技能の支援計画の変更だけが生じた場合に、雇入れ・離職の欄へ機械的に転記する必要がないと分かります。

反対に、雇入れや離職が発生したら、特定技能の契約に関する変化もあるかを別に調べます。法律ごとに主語と提出先を記すと、どの届出を確認したかが明確になります。特定技能以外の外国人を雇う場合も、第28条に関する確認を「特定技能ではないから不要」と短絡しません。技能実習と育成就労の違いも在留資格ごとの制度を分ける参考になります。

二つの届出を説明する図には、上段に出来事、下段に法律ごとの判断を置くと理解しやすくなります。雇入れ・離職の線は労働施策総合推進法へ、特定技能雇用契約と支援の線は入管法へつなぎます。交差する場面があっても一本化しません。本人の在留手続を表に加えるなら、企業が行う届出とは主体が異なることをはっきり示します。

労働施策総合推進法と入管法の届出対象を比較する図
労働施策総合推進法と入管法の届出対象を比較する図

担当者の記録を分ける理由

同じ人事イベントから複数の確認が始まる場合、法律ごとのチェック欄を分けます。たとえば人事担当が雇用契約の終了を把握したら、外国人雇用状況の届出に関わる離職の事実と、特定技能なら所属機関の契約終了の事実をそれぞれ確認します。実際の担当が同じ人でも、参照する条文と公的案内が異なることを表に残します。

社内表には「出来事」「対象の外国人」「根拠法」「確認した資料」「担当」「公的案内の確認日」を置くと、判断の経緯を追えます。ただし社内表は業務を整理する道具であり、公的な届出書そのものではありません。行為ごとに資料の準備状況を更新すれば、一方の届出を確認しただけで他方も終わったと誤認することを防げます。事実と手続を対応させて管理します。

記録を引き継ぐときは、届け出たつもりかどうかという口頭の説明ではなく、どの根拠法についてどの公的案内を確認したかを渡します。担当者が同じでも、二つの制度の確認が同時に終わるとは限りません。届出済みという社内の表示には、対象の出来事と法律名を添えると、後から別の担当が見ても何を確認したか分かります。

まとめ

外国人を直接雇う民間事業主は、雇入れ・離職を起点に第28条の確認をします。特定技能所属機関の届出とは別に管理し、公的案内を確認して実務へ落としてください。

よくある質問

Q. 外国人雇用状況届出の主体は誰ですか
外国人を雇い入れた、または雇用する外国人が離職した事業主です。国・地方公共団体は第28条第3項で別の扱いがあります(労働施策総合推進法、e-Gov法令API現行版、確認日2026-10-21)。
Q. 雇入れと離職の両方が対象ですか
はい。第28条第1項は両方を対象に挙げます。雇用関係の事実を人事記録で確認し、厚生労働省の公的案内と照合してください(取得日2026-10-21)。
Q. 特定技能所属機関の届出と同じですか
同じではありません。前者は労働施策総合推進法第28条、後者は入管法第19条の18に根拠があります。出来事と提出先を分けて確認します(各法令のe-Gov法令API現行版、確認日2026-10-21)。

出典

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